筆記



【シンイ二次】雨1

24話(最終話)キ・チョルとの最後の戦いの直後からの話。
ドラマではありませんでしたが、脚本ではチェ・ヨンが生き返るのは雨のおかげで、
目が覚めるとそこに薬があったとか。

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暗闇の中にいた。
見えない。
何にも触れず、何も触れてはこない。
明かりが音が匂いが、…熱が弱まっていく。
怒りの心は遠に消え、意外なことに悲しみもまた遠ざかっていく。
ただ最後に、あの人への心配と嬉しさと苛立ちと温さが混じり合ったものが、
微かに我の中に息づいている。

ああ、それも消える、と思う。
最後の一息が漏れる。

そのとき、温いものがぽつりと落ちてきた。
一粒、間を置いて、ゆっくりと一粒。
硬く凍えていたものが、溶けて戻ってくる。
あの人が泣いている、温かい涙だ…また泣かせてしまった。

それが自分の頬に落ちる雨だと、チェ・ヨンはしばらくして気づいた。
雨がこれほど温かく心地良いものだと、初めて知った。

戦さ場では、髪の根元に流れこみ、背中を伝って爪先までしんしんと冷やすそれは、
心底嫌なものでしかなかった。
だからあの人に好きなものを尋ねた時に、
「雨が一粒、二粒、とふりはじめるとき。あ、と顔をあげて」と言われても、
また奇妙なことを言う、と思った。
ただそう話して煌く瞳から目を離すことができなかった。

今ようやく、あの人が言いたかったことがわかったような気がする。

雨がさあさあと絶え間なく粒をつなぎはじめ、眼をじかに叩きはじめた頃、
水の中にいるような視界のおかしさに、光が戻ってきたことを知った。
自分がキ・チョルの氷功に凍らされて目を開いたままであったことも。
ぐ、と目をつむる。
目を閉じるのも一苦労だ。

熱が戻ってくると同時に、激しい焦りも戻ってくる。
血と気が巡り始めるのがわかるが、しかし身体はまだ動かない。
ようやく血が通いはじめた指先で、草と泥を掻く。
次第に平に力が戻り、地面をつかむような動きができるようになる。
手首と肘が鈍痛を伴いながらわずかに収縮を見せる。
泥を掻く指に、この時代に不似合いなつるりとした硬い感触があった。

けれどもチェ・ヨンにはその感触に馴染みがあった。

知っている。

俺は、これを大切に持っていた。

身体をなんとか動かせるまで、小半時がかかった。
起き上がったチェ・ヨンの手には苔むしたプラスチックの薬瓶が握られていた。





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by kkkaaat | 2013-09-27 19:10 | 雨【シンイ二次】 | Comments(3)
Commented by 九条友 at 2013-10-01 14:35 x
こんにちわ。
ここの部分、ドラマでは描写されてなくて納得いかなかったんですよね~(笑

ヨンは生きてたのか?死んだのか?とひやひやした部分です

再会後も気になります★
Commented by kkkaaat at 2013-10-01 16:55
>九条さん
こんにちは。
え? どうなったの? 死なないよね?って私もあたふたしました。
そこからラストまでなんお説明もなくて、やや呆然としたまま、見終えました(笑)
なので脚本では雨で溶けたというのを読んでようやく納得というか。
次に再開後の話を書きますので、よかったらお読みくださいね。
Commented by 九条友 at 2013-10-01 19:30 x
わ~楽しみです❤
再会後、幸せになってほしいものです(笑
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