こんばんは。
いま、火、狩人の続きを書いているのですが、根気よく書かなくてはいけないパートが続き、ちょっと息苦しく。そんな中でネットサーフィンをしていたら、なんと、ミンホさんが先日日本でトークコンサートをして、そのときに、シンイのあの告白のセリフを演じられたとか!!!
けっこうシンイに触れてくれたみたいですね、びっくりです。そして、ちょっと嬉しくて。
あ、いまさらなことを言っているのはすごーーーくわかってます。
ミノペン(と言うんですよね?)の間では、何いまごろ言ってるの、な話題であること。
しかし、知った私の脳内に、くだらないおかしな妄想がむくむくと。
かなり脱線した話で、純粋なシンイの二次ではなく、たぶんナマモノジャンル(実在の人物を扱った二次創作)にあたる話です。息抜きに書きたくなっちゃって。
4話くらいでしょうか、っていうかちゃんと終わらないかもですw
よかったら、何このアホな話、と読んでいただけたら幸いです。
【注意】
・ドラマシンイとナマモノの中間くらいのお話です。純粋なシンイ二次ではありません。
・ギャグ寄りです。
・役者さんご本人はシンイで見た範囲の印象で書いているので、イメージギャップがあることをご了解ください。
※実はミンホさんのことは、本当にうとくてあまり知りません。口調や雰囲気なども、シンイのインタビューなどで見た範囲なので、一人称「僕」でいいのかさえ、ちょっとあやふやです。こういう人なんだよ、というのも、教えていただけたら幸いです。
ご了解いただけたら、どうぞ~♪
「……テジャン…? テジャン…でいらっしゃいますよね?」
僕は、そう呼びかけられて、わずかに自分を取り戻した。
目の前には、見知った顔だ。
ここは…どこだ…?
この男は…。
なんという名前だったか、そう、ギュンサンだ、ユン・ギュンサン。
一歩後ずさって、顔だけではなく、そのほかの部分も目に入る。
―違和感しかない、髪型も、衣装も。
そう、衣装…だよな、なんだ、夢なのか?
この姿が日常だったときもある。
ここは撮影現場なのか、おかしいな、撮影はもう何年も前に終わったはずだが。
「テジャン、いかがしましたか、その、その、おかしな…いやっ、言い間違えました!
見慣れぬ装束は」
チョナよりご下賜がありましたか、あーっ髪はどうされたんですか、
このように短く切られて、と慣れなれしく話しかけてくるこいつはまるで――
まるで、そう! トクマンだ。
「トクマン!」
思わず口に出た。
もしや医仙がこうしろとおっしゃったんですか? 天界の髪型でしょうか、
とまくしたてていたギュンサンは、ぱっと顔をあげる。
「はいっ!」
あ、これは夢なんだな、と納得する。
目の前にいるのは、テレビドラマ信儀で主役のチェ・ヨン将軍を演じたときに、
共演したユン・ギュンサンで、役名はトクマンで、あたりを見回せば、
開京の街並のセットだ。
エキストラだろうか、街人も行ったりきたりしている。
リアルな夢だなあ、
というか夢の中にいてこんなにはっきり夢だと意識したことは、
うまれて初めてだと少々感動した。
「ってことは、僕、テジャンってことだね」
我知らずにつぶやくと、ギュンサンが怪訝な顔で俺を見る。
「えーと、きみはギュンサンなの、トクマンなの」
尋ねると、は? と首をかしげた後に、
俺はトクマンですが、テジャン、何かありましたか?
と聞いてくる。
そうか、この夢の中ではトクマンなんだな、と飲みこんだ。
テジャンを演じてるミンホじゃなくて、テジャン、と上書きする。
「トクマン」
こんな調子だったかな。
声を出してみると、案外しみついているもので、
意外とそれらしく自分でも聞こえた。
「今は何をしている」
トクマンは、ぴしりと姿勢を正す。
「只今は、ケギョンを警らし、これより城へと戻るところでありました」
じゃあ、僕もいっしょにもどろうかな、と呟くと、
トクマンは眉をしかめて俺の顔を恐る恐る覗きこむ。
おっと自分はテジャンだった。
「俺もともに戻る。警らの様子を見させてもらう。先導しろ」
そう言うと、はいっと大きな声で答えて、
少し離れたところにいたウダルチの一群の元へ小走りに戻る。
僕は少し離れて、歩き出した一群の後を追う。
がっしりしてるあいつはチュソクと言ったっけ、
ペクさんがやってた副隊長のチュンソクはいないなあ兵舎か?
チャンムク――役名は、そうだ、トルベだ、トルベ。
離れて歩いていると、だんだんと記憶がよみがえってくる。
それにしても、よくできた夢だな…、暖かな湿った空気も、埃っぽい匂いも、
一糸乱れず演じ続けるエキストラたちも。
あまりのリアリティに妙に不安な気持ちなる。
今まで温度や匂いを夢の中で感じたことなどあっただろうか?
歩いていると、人の視線を感じる。
確かに、この本当によくできたセットの中で、
僕だけが現代のかっこうをしていて、確かに浮いている。
あ、セットじゃないのか……?
ドラマの中の世界、か。
そろそろ覚めてもいいころなのに、歩いても歩いても、いっこうに目が覚めない。
それに、もうけっこうな距離を歩いている。
暖かさもあって、汗ばんできた。
……汗ばんで…きた…?
夢で、汗ばむことなどあるだろうか。
むくむくと何かがおかしいという気持ちが膨らんでくる。
なんなんだ、これは、おかしい、夢だろう、そう考えこんでいるときだった。
「ねえちょっと」
急に話しかけられて、顔を上げると、またもや見知った顔だ。
火功の使い手の、えーっと役名は、そう、ファスイン!
「どうしちまったのさ、そのかっこう」
顎ですくうように俺の服装をさしながら、ファスインがそう言った。
「おかしなかっこうだねえ」
横の髪の白い男が、口の片方だけをかすかにあげて、馬鹿にしたように笑う。
こっちの髪の白いほうが、風功の使い手のチョ、チョ、チョヌムジャ、そうチョヌムジャ。
いやそれを言うなら、こいつの方がよほど。
「ファスイン、と、チョヌムジャ」
確かめるように、そう指さしながら言うと、二人は怪訝な様子で顔を見合わせる。
「ああそうだよ、それがどうかしたかい。
なんだい、髪といい、服といい、もの言いといい、けったいだね、気味が悪い」
気味が悪いとは、テジャンに向かって失礼だぞ! と声がして、
気づくと俺の後ろにティムウダルチ(チームウダルチ)がむらがっていた。
いや時代劇的にきみらも相当あれだよ、と内心思っていると、
トルベが槍をドンと地面について、一歩前に出る。
「テジャンにむかってなんだその無礼なものいいは! お詫び申し上げろ!」
ああこいつ、熱血キャラだったなあ、と思っていると、
ファスインは引かずに、むしろ胸を突き出すようにしてトルベに詰め寄る。
「あら、なあに、おかしなものをおかしいと言っただけよ。
あんたの前じゃ、正直にものも言っちゃいけないのかしら」
胸を大きくあけて、(たぶん、寄せて上げて、)胸元を強調した衣装に、
トルベは目のやりどころに困ってわずかに後ろににじり下がる。
トルベ役のチャンムクとは、けっこうエロ話をしたなあ、とどうでもいいことを思い出す。
片眉を上げて、ウダルチを睨めるファスインの横で、
チョヌムジャが僕を睨みつける。
え、何、僕ですか?
ゆっくりとその手が、抱えていた笛を口元に持ち上げはじめる。
「えっ、まずいでしょ」
と思わずつぶやく。たしかこのキャラ、笛の音で攻撃するはず。
「ちょっと待ってよ」
とひょいと腕を伸ばして笛を握ると、チョヌムジャはこっちをぽかんと見る。
いやほら、この笛を吹かれると、みんな音功で動けなくなっちゃうから、
と何事かと僕を見るウダルチに説明すると、
チュヌムジャはみるみるうちにわなわなと震えだし、
いきなり何かが鞘走った。
「あぶないっ!!」
いきなり、ほんとにいきなり目の前に小柄な男が出現して、
そう叫んだと思うとキンっと金属音がして、
チョヌムジャが手に持った小剣の刃をはね上げた。
あ、あぶっ、あぶなっ!
模造刀とは違う、鋭く硬い刃鳴りに、身体が咄嗟に反応して、
すばやく後ろに飛び退いた。
「テジャン、俺がやります」
僕の前に、身体を低くして、短剣を構えたこいつ。
後ろ頭しか見えないけれど、このぼさぼさの爆発頭、この舌足らずな話し方。
「ジョンムン、おまえ」
と言った瞬間に、ウダルチ、ファスイン、チョヌムジャがいっせいに、
首をかしげて、ジョンムン? と小さくつぶやく。
あ、違う、違う、やり直し。
「テマン、下がれ」
なんだか一触即発の空気で、夢なのに緊張感がある。
アクション系の夢だなあ、と思いながらふと手の甲にきりきりするような痛みを感じた。
なんだ、と見下ろすと、一筋赤いラインが入って、そこからたらーりと…。
あ、血だ。
って、いってえええええっ!
痛い? 痛いよね、これ。
とりあえず、お約束で頬をつねってみる。
手の傷と頬と同時が、しっかりと実感を持って痛んだ。
「おーーーっ」
驚きで思わず声が出た。
なんだこれ、夢じゃない!?
怪我、してるぞ、これ。
傷の痛みと、夢じゃないのかというパニックで、
僕は思わず、チョヌムジャの肩を突き飛ばす。
「おまえっ、これやりすぎだろう。どうするんだよ、なんなんだ、これ」
あまりの剣幕に、チョヌムジャだけでなく、ファスインも、ウダルチも、
テマンも呆然とこっちを見て動きがとまっている。
「うわっ、夢じゃないのかよ、これ。なんなんだ」
ストレスには強い方だし、なんでも笑ってすませる性格だ。
でも混乱で自分を抑えられずに、やばい、やばいと口走る。
それでも、じっと自分を見つめる視線に、はっと我に返った。
「あ……」
ええと。
これが、夢じゃないとして、僕は何をどうすれば正解なのか。
少し、考える時間をくれませんか?
そう言いたかったが、決して言うべきじゃないのだけはわかる。
僕の顔を覗きこんでいたテマンが、じり、と後ろに下がる。
「なんだ、こいつ」
あれよあれよという間に、顔つきが変わる。
「テジャンじゃないぞ」
戦うために、チョヌムジャにむかって腰を低く構えていたテマンは、
すっくと立ち上がって、俺を指差す。
「お、おい! こいつ、テジャンじゃねーぞ!」
(続く……のか?)