「テジャンってのが、あの人みたいよね」
母親がつぶやくと、まだわからないが、どうやらそのようだ、と父親が言う。
「書かれた時期もさまざまですし、一人が書いたともわかりませんから、同様の表記の“あの人”でも同じ人をさしているとは限りませんよ」
ソファの背もたれに身体を預けて、じっとしていた男性が、急に言葉を挟む。
そうよねえ、と言いながら、母親はもう一枚手にとった。
「6枚目」
一週間ほど、微熱、嘔吐感が継続している。
何かの感染症を疑っているが、劇症というほどでもないため、薬は様子見とし服用していない。
解毒後の内臓疲労から来るものかもしれない。
セカンドオピニオンを得たくて、村に医員がいないか聞いてみたけど、簡単な手当ができるという和尚様のところに連れていかれて、症状を伝えるのも半分ジェスチャーだから、いまいち伝わらず。
大丈夫だというようなお返事だったけど、あてにならない。
あとはお産を手伝う年上の女性がいるらしい。
助産師さんに見てもらっても、と思ったけれど、この時代だと薬師もかねていたりするから、明日合わせてもらうことにした。
午後に、心配した奥さんが小さなお椀にシッケをもらってきてくれて飲ませてくれた。
動けないほど具合が悪いわけではないのだけれど、早く診断をつけたい。
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