筆記



カテゴリ:パラレル【シンイ二次】( 5 )


【シンイ二次】スリップ 番外編~帰ってきたテジャン~

「おまえら、何をしている!」

へんなかけ声で戦って、
(でも戦いぶりはいつもとさほど変わらなかった)
雷功がでなくて、敵にぶつかられてよろけて転んで何かを大声でわめいたいつもらしからぬテジャンが、いきなり身体を起こして振り返りもしないで、鋒鋭く最後の私兵を切り捨てると、おれとトクマンを大声でどなりつけた。
起き上がる前に、一瞬テジャンの身体がぼんやり光ったのは気のせいか?

「な、なにをしているって、えっ?」

いまの戦闘になにかわるいとこでもあったのかと、おれは頭のなかで思いだしてみたけれど、十八人たいおれたち三人で、医仙もおけが一つなくて、とくにまずいところもなかったように思えるんだけど。
でも、テジャンはきびしいからなあ。
隊形のとり方がいけなかったかもしれない。
ごめん、テジャン。

「あの、すんません」

しょんぼりとあやまると、医仙が急いでかけつけてくれて、テジャンの前に立つ。

「人前に出てはならぬと、ウダルチ兵舎かチョニシにおいでくださいと、もうしあげたではないですか」

テジャンがすごーく心配そうに、医仙の肩をつかんでゆさぶってる。
いやちょっとまってよ? ここに行きたいっていったのはテジャンじゃないか。出ちゃいけないっていうなら、なんで出発するときに止めなかったんだ? 
あれ、おれの考え、おかしいか。

「テジャン、で、でも、テジャンがここにつれてけって」

おれが思わず口にすると、テジャンはくるりと顔だけおれに向けた。

「なに? 俺がだと?」

まってまってまって、タイムタイムと、医仙がまたあの変なかけ声でテジャンを止める。

「あのね、そのことについては、兵舎に戻ってよーく説明するから。ね、ね?」

あのちょっと変なテジャンの様子について医仙はなにかを知っているんだ。
医仙がなだめると、テジャンはふんがいしながらも、目をつぶってため息をついて、わかりましたっていった。
そうなんだ、医仙が下から見上げてちょっと首をかしげると、テジャンはいつだってそうなんだ。
わかりましたって結局いうことになる。
それから医仙はずれちゃってた笠をふかくかぶりなおして、くるっとおれとトクマンのほうに向いた。

「テマン、トクマン、守ってくれてありがとう。二人がいなかったら危なかったわ。感謝してる」

ってやさしくいってくれた。
医仙はいつもおれの話をちゃんと聞いてくれる。
最初はテジャンに迷惑をかけて、ひっどい女だと思ってたけど、後ですごくいい人だってわかったんだ。それにテジャンがすごく惚れている。だからおれは、テジャンと医仙にうまくいってほしいなあ、って思ってる。

トクマンは医仙がやさしい言葉をかけてくれたから、うれしくって鼻の下をでれーっと伸ばして頭をかいている。
ばかだなあ、テジャンがすごい目で見ているってのに。
おれ、しらねーぞっと。







「そいつに俺の衣を貸したというのですか!」

なんてことだ。
俺は自分の武装束を、天界から来たという俺にそっくりの男に貸したとイムジャから聞いて、声を荒らげてしまった。

「まあ貸したっていうか、結局あげちゃったわけなんだけど」

もう来ないだろうし、返してもらえなくて、ごめんね、とイムジャは顔の前で手を合わせる。
別に衣などどうということはない。
それより、そのような素性の知れぬ男と二人きりで話をするなど、なんと無謀なことをなさるのか。
本当にこの方は、目を離してはおけぬ。
このような男ばかりの場所に留め置くのもよくないと、城下に小さな家でも借りおくことも考えたが、やはり手元におくより仕方がないようだ。

「衣などどうでもよいのです。もうこのような危ないことはなさらないと約束してください」

どうしてもという場合には、必ずテマンかチュンソクを部屋に同席させること。
そう俺が手を握って話すと、こくりと真剣な顔をしてうなずく。
うなずくのだが、火急のことになると、きっとこの方は一心不乱になって自分のことなど忘れてしまう。
そのあまりにもひたむきで一途な目を見ていると、小さな身震いが腰から背中に駆けあがった。
じっと見つめてくる瞳の不思議な色に吸いこまれるように、顔を近づける。

「テジャン、ただいま報告を受けました! トクマンの監督不行届の――」

大きな音がして扉が開く。
チュンソク……。
だから部屋に突然入るなと、いつになったら覚えるんだ!
この部屋でいつだって寝てばかりで、ウダルチが起こしに入ってこないと、扉の外から呼ばれたくらいじゃ起きなかった自分が、今更ながら恨めしい。

手をほどいて、身体を起こす。
だから、目をそらすくらいなら、入ってくるなと……はぁ。

「わかった、あちらで聞く。しばし待て」

そう言うと、チュンソクは急いで部屋を出ていった。
イムジャは罪つくりな笑顔で、俺を見上げている。

「それで、あなたはどうしてあそこに現れたの? 
姿が見えなかったけど、どこにいたの?」

尋ねられて、思わずむせる。
俺がどこにいたかだと?
目を泳がせて、言いあぐねる。

「いや、俺は、その」

あのおかしな場所はいったいどこだったのだろうか?
皇宮を超えるほどの巨大な伽藍、なぜだかものすごい数の女人が集まっていた。
いったいなんの会合なのだろうか。
耳が割れんばかりの音に、あの目くらましの光はいったいなんだったのか。
まさか、あれが天界というところなのだろうか?

だとすれば、この方の少々風変わりなさまも、納得がいくというものだ。
あのような場所から来られたのだから。

「少々、説明がむずかしい場所におりました……」

そう言うと、じゃああとで聞かせてね、とぴょこんと立ち上がって、小さく手を振ってみせる。
ちくしょう、プジャンさえ来なければ!!!
そして俺は、やはりこの方をどこかに一人には決してしておけぬ、という思いを非常に強くしたのだった。



(こんどこそ、おしまい)






今日という日に、ほんの少しでも笑っていただけますよう願ってます。


by kkkaaat | 2016-03-11 20:22 | パラレル【シンイ二次】 | Comments(18)

【シンイ二次】スリップ4(終)



More
by kkkaaat | 2016-03-09 22:57 | パラレル【シンイ二次】 | Comments(16)

【シンイ二次】スリップ3



More
by kkkaaat | 2016-03-07 23:09 | パラレル【シンイ二次】 | Comments(12)

【シンイ二次】スリップ2



More
by kkkaaat | 2016-03-06 01:51 | パラレル【シンイ二次】 | Comments(18)

【シンイ二次】スリップ1

こんばんは。

いま、火、狩人の続きを書いているのですが、根気よく書かなくてはいけないパートが続き、ちょっと息苦しく。そんな中でネットサーフィンをしていたら、なんと、ミンホさんが先日日本でトークコンサートをして、そのときに、シンイのあの告白のセリフを演じられたとか!!! 
けっこうシンイに触れてくれたみたいですね、びっくりです。そして、ちょっと嬉しくて。

あ、いまさらなことを言っているのはすごーーーくわかってます。
ミノペン(と言うんですよね?)の間では、何いまごろ言ってるの、な話題であること。
しかし、知った私の脳内に、くだらないおかしな妄想がむくむくと。
かなり脱線した話で、純粋なシンイの二次ではなく、たぶんナマモノジャンル(実在の人物を扱った二次創作)にあたる話です。息抜きに書きたくなっちゃって。
4話くらいでしょうか、っていうかちゃんと終わらないかもですw

よかったら、何このアホな話、と読んでいただけたら幸いです。

【注意】
・ドラマシンイとナマモノの中間くらいのお話です。純粋なシンイ二次ではありません。
・ギャグ寄りです。
・役者さんご本人はシンイで見た範囲の印象で書いているので、イメージギャップがあることをご了解ください。

※実はミンホさんのことは、本当にうとくてあまり知りません。口調や雰囲気なども、シンイのインタビューなどで見た範囲なので、一人称「僕」でいいのかさえ、ちょっとあやふやです。こういう人なんだよ、というのも、教えていただけたら幸いです。

ご了解いただけたら、どうぞ~♪

More
by kkkaaat | 2016-03-06 01:23 | パラレル【シンイ二次】 | Comments(4)

二次小説。いまのところシンイとか。
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
最新の記事
カテゴリ
記事ランキング
最新のコメント
ウンスノートから読んでし..
by 比古那 at 13:31
あー、やっとたどり着けま..
by 比古那 at 10:48
みちさん お元気でしょ..
by mm5210 at 12:59
更新を待ってるの
by やっちゃん at 07:58
更新を待ってるの
by やっちゃん at 07:58
ブックマーク
以前の記事
検索