筆記



ウンスノート 8枚目 ―百年前ノ伍


「8枚目」


息子に関しては、傷口もふさがり、消毒も基本的に必要ないだろう。
父親に関しては、消毒を継続。一時的に化膿が見られた箇所があり、セファレキシンを一週間投薬。断薬後も悪化はなく、経過良好。
最近は言葉でのコミュニケーションも順調。
基本的には高麗の方言だと考えればいい。ものの名前など元国由来のものが多く、戸惑うが単語の暗記だから問題なし。受験勉強の女王健在。

昨日、以前皇宮で見たノートの内容を思い出して、(塗りつぶし)の開く日付等、再度書き出してみた。
数値を思い出せない場所は、計算方法を覚えていたので、再度計算。
今年の夏の終わりと、来年の初春に一度ずつ開くはず。
絶対に開く! 
計算してみて、すうっと心が軽くなった。
二度も開く珍しい年だからなのか、期日以外にもごく弱くつながるときがあるようだが、人は通れない。草を投げ入れたら、吸い込まれたときがあったので、一応つながってはいるよう。

お世話になっている陰さん御夫婦に、夏までの滞在を願い出る。
親子の治療が終わったら、自活の道を探そうと考えていたけれど、そうもいかなくなった。
今、この状態で新しいことを始めることはできない。
優先順位は、以下。

一、自分の健康状態を良好に保ち、出産に向けて準備をすること
二、(塗りつぶし)へ入るタイミングを逃さず、あの人の元へ帰ること
三、戻れなかった場合を想定して、暮らす道を探しておくこと

死ぬほど不安だけど、なんなんだろう、このわくわくする気持ち。
頑張ろうって気持ちが、お腹の底から湧いてくる。
ファイティン、ウンス!





母親がこの紙を両手に持ったまま、ぴょんと急に飛び上がるように立ったので、
父親と男性は、驚いて目を大きく見開いたまま、ぽかんと母親を見た。

「ねっ、ねっ、ウンスッ、ウ、ウンスッて!」

母親の手が、紙を持ったままぶるぶると小刻みに震える。
父親は、慌てて立ち上がって、その手首を自分の両手でつかむと、落ち着かせるように顔を覗きこむ。

「ねえ、あなたっ! ちょっと、ここっ、ここ!!」

必死に訴える母親を父親はうなずきながらなだめる。

「わかった、わかってるから。ほらちょっと、座りなさい。
ウンスの名前が書かれているってのは、事前に言われていたろ?」

まだそれとあの子に何の関係があるかはわからないと、ちゃんと説明を受けたろう、と父親が言うと、だってだってと母親が紙を父親につきつける。

「わかったよ、確かにウンスと書いてある」

だからね、おまえ、他のところに書いてないか、きちんと探してみようじゃないか、父親がそう言うと、母親はぶんぶんと頭を縦に振って、次の紙を急いで手にとった。




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by kkkaaat | 2016-04-17 22:15 | ウンスノート【シンイ二次】
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二次小説。いまのところシンイとか。
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