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筆記



2016年 04月 12日 ( 2 )


【シンイ二次】緑いづる15 ―芝居の一座―


「ね、ちょっと、なんかたまってるんじゃないの? すと、すと…、なんて言うんだっけ?」

箱馬車の布簾を手で持ち上げて、中からハヤンが横を進む馬上のウンスに尋ねる。

「ストレス、です」

ウンスは藍の野良着に頭には笠をかぶって男装しているが、外の景色を眺めながらで、表情は明るかった。
問われるままに、ウンスが答えると、ハヤンはそうそう、それ、と手を叩く。
屋敷に隠れこもったときに、暇にあかせてずいぶんとウンスから天界語を習ったのを、スリバンたちは機会さえあれば使おうとするのだ。

「そうそれ、すとれす。すとれすが溜まってるのよ。いろいろ心配なんだろうけどさあ」

ウンスの横でチュホンを進めるヨンは小声で、黙ってろ、とつぶやいて、不機嫌そうに前を見つめている。
溜まってるのはそっちじゃないんだが、と先頭を進むチュンソクが誰にも聞こえない声でそうつぶやいた。

「昨日だってなーにを怒ってるんだか、宿の椅子なんか壊しちゃって、ねえ、わけわかんないわあ!」

ハヤンがヨンのむっつりとした顔にそう投げると、ウダルチの麒麟鎧を身につけて、今では大分伸びた髪を後ろで一つに縛ったジホが、急いで馬を進めてウンスと馬車の間に割り込み、無理やり窓の引き戸を滑らせ閉じてしまった。
中で、なにするのよ! と騒ぐハヤンに、珍しく髪を髷に結い、これまた麒麟鎧を来たシウルが、窮屈そうに鎧の位置を直しながら、壁越しに言う。
二人の鎧はよくよく見ると、ウダルチのものとは違い皮に色を塗った偽物で、胸の麒麟もなんだか今ひとつ粗っぽい。

「おまえなあ、今回の働きに免じて、ヨン兄も手を出さなかったんだぞ。
ぼっこぼこにされなかっただけ、運がよかったろ」

えー、なあにー、それ、あたしヨンアにぼこぼこにされるようなこと、何かしたかしら?
馬車の中から響いてくる声に、ヨンの目が少しばかり大きく見開かれた。
ウンスが横目でちらりと見ると、ヨンは小さく頭をふって息を吐く。
ヨンにだけわかるように、ウンスが少し決まり悪げに笑って肩をすくめると、ヨンもまたウンスにだけわかる程度に微笑んて目を合わせた。

しかしお互いだけにわかるように、と思っているのは二人だけで、ジホがそれとわからぬ程に顔をそらして細く口笛を吹く。
シウルはそれを肘でつついて、テマンにやめろと手で合図されている。

ウンスは気づかないまま、ヨンに馬を寄せてその胸元を覗きこむと、ヨンが馬上で身体をかがめて、抱いた赤ん坊の様子を見せた。
ウンスは赤ん坊の顔にかかった髪をどけようと手を伸ばそうとして、ずるりと滑り、ヨンは慌てて腕をつかんで鞍の上に引き戻す。

「気をつけてください」

ヨンが思わず笑いながらそう言うと、ウンスが口を尖らせて、ちょっと気を取られただけよ、と言い訳する。

「だそうだ、ミョンソン」

ヨンは指で赤ん坊の髪の毛をかきあげながら、そう言った。
そんな様子を、マンボ姐がゆっくりと馬を進めながら、眺めている。
スリバンが合流して一時人数の増えた一行だったが、それもつかのま。

「おい、ここだぞー」

マンボ兄が、だいぶ先の分かれ道に立って、声を上げる。
すぐに、一行が追いつくと、ジホとシウル、マンボ兄妹、箱馬車は脇道へと馬で入り、ウンス、ヨン、テマン、チュンソクはまっすぐ進む街道に残る。

「マンボ姐さん」

わざわざ自分の馬を降りて、マンボ姐がそばまで来ると、ウンスは自分も馬を降り、手を握って名前を呼んだ。
マンボ姐はぎゅうとウンスの手を握り返して、そんな顔をするもんじゃないよ、と答える。

「なあに、ケギョンまであとちょっとじゃないか。すぐにまた会えるさ」

ウンスはそう言われて、涙のたまった目で、それでも笑顔をつくりながらうなずいた。

「気が利かない男どもに囲まれて、気が休まらないだろうがね、あと少しの辛抱さ」

お前たち、頼んだよ、まああたしが頼まなくたってこいつらはやるだろうけどさ、と言われて、テマンとチュンソクが深くうなずく。

「この借り、高くつくよ」

マンボ姐がヨンに顔を向けると、ヨンは目を見てこくりと無言のままうなずいた。
後ろでマンボ兄も、うんうん、とうなずきながら、返してもらうんだから、死ぬんじゃねえぞ、とつぶやく。
そこに、馬車の扉が勢いよく開いて、ふたたび女の格好をしたハヤンが顔を出した。

「借りなんて気にしなくていいわよ! だってこれ、楽しいんだもの!」

そう大声で言い放ったハヤンに、皆は苦笑いを浮かべる。
それに今度は、馬車にこもらないでいいんでしょ? とハヤンはしなを作りながら念を押す。

「このままソギョンまで、王と王女を助ける天女とえらあい武士の恋物語の芝居を打つ一座だってさんざん触れ回っていくから!」

この美しい医仙をご覧になりたきゃ、西京(ソギョン)までいらっしゃいってね、とハヤンが言うと、ウンスはこぶしを口に当てて笑いをかみ殺す。
ハヤンがウンスの癖の髪の毛をかき回す仕草を大げさにやってみせると、もうたまらなくなってウンスは大きな笑い声を上げた。
ヨンはため息をついて、じろりとハヤンを見る。

「ソギョンにて一度地下に潜り、気配を残さず帰京してくれ。次の落ち合う場所は、ピョンナンド(碧瀾渡、開京にもっとも近い港)だぞ」

ヨンがそう言うと、人使いが荒いわね、とハヤンがベロを出す。

「はでにやるぜ! 医仙が現れたって噂の真偽があやふやになるくらいにな」

シウルが見世物のように馬の鞍に、一本足で立って見せると、ウンスは今度は感心して口を手で押さえた後、パチパチと拍手を送った。

「ウダルチは、そのような曲芸はいたしませぬが」

チュンソクが断固とした口調で抗議すると、芝居の宣伝だからな、いいんだよ、とジホが答える。
まあせいぜい派手にやってくれ、とヨンが言う。

「やつらには、不確かな情報に惑わされて、高麗の罠に落ちたと思ってもらわねばならぬゆえ」

ヨンはそうつぶやくように言いながら、ぎゅっとたずなを握り締める。

「まかせておけ」

マンボ兄がしゃがれ声でそう答え、スリバンの皆がいっせいにうなずいた。





by kkkaaat | 2016-04-12 22:59 | 緑いづる【シンイ二次】

シンイ視聴時期アンケート結果発表 その1

皆様、アンケートへのご協力、ありがとうございました!
ふとした「みなさん、いつごろからシンイを見てるんだろう?」という疑問でしたが、たくさんの方にお答えいただき、なんだかすっきりした気持ちです。

ブログとかって、もちろんコメント欄での交流はたくさんあるんですが、基本的にこちらが見られる立場、読み手の方の姿は見えづらいんですよね。
私はどちらかというと、お届けする相手の姿をイメージできたほうが書く手がはかどる方なので、今まで訪問者数という「数」だった方々が、「何年頃からシンイを見て、二次を読んでるシンイファン」と具体的な姿になって、すごく嬉しいです。

総勢311名の方に、ご投票いただきました。
そしてとてもありがたいことに、たくさんの方の「シンイを見始めたきっかけ」と「シンイの二次小説を読むようになったきっかけ」を教えていただけました。
その投票結果やコメントについてまとめてみましたので、一緒にお楽しみいただければ幸いです。


アンケート結果は以下の通りです。

2013年KNTV 4.5%(14)
2013年BSフジ 19.6%(61)
2014年TVで 19.9%(62)
2015年TVで 15.1%(47)
2013~2014年にDVDか視聴購入で 19.1%(60)
2015年にDVDから視聴購入で 8.4%(26)
今見ている途中 0.2%(2)
実は見ていない 0.3%(1)
その他 12.2%(38)

【全体分布の傾向】

ちょっとアンケートの項目設定をあまり考えずにわりふってしまって、あてはまらな~い! という方もいらっしゃり、いただいたコメントなどから私の方で振り分けさせていただきました。そんなに厳密じゃなくてもいいですもんね? すると。

2013年 39%(120)
2014年 36%(113)
2015年 23%(73)
2012年 0.01%(3)
今見ている途中 0.01%(2)


まず、本国での2012年の放映を含め、2013年の日本初放映時期組が全体の4割。つまり少なくとも3年半近く、シンイ界隈にひたってらっしゃる廃人が百人以上と…!

シンイ、なんて罪深いドラマ…!(大げさ)

いやでも、大げさでもなんでもなく、これってけっこうすごいことですよ?

初期ハマリの方は、予告編やポスターのビジュアルにやられて、とか元々ミンホさんのファンで、とわりと待ち構えて見た人が多かったようです。ここの割合が多めなのは、当ブログがやはり2013年開設なので、そこらへんからお読みいただいて方が多いというのと関係していて、シンイファン界隈では、実際にはもう少し、新しく入っていらっしゃる方も多いんじゃないかと思います。

そして、ほぼそれに匹敵する2014年組は、たまたま朝テレビを見てたらやってて、とか録画していたものの後続番組がシンイで、とか、CSで一挙放送をしていて、ふとしたきっかけ組がわりかし多いようです。目を挙げたら、ヨンのあの障子をなぞるシーンでとか、一瞬目に入ったヨンのビジュアルに打ち抜かれてとか、運命的な出会いをした方もいらっしゃり、シンイ…というか、ヨンのビジュアルのすごさをひしひしと感じました。

だってテレビを見ていて、目に入ったとたんに目が離せなくなったってどこの少女漫画? っていう出会いですよね?

2015年つまり昨年の再放送でがっつりはまられた方も、全体の1/4もいらっしゃいました。こちらもきっかけはほんといろいろ。ミンホさんのファンだったり、相続者たちを先に見て、それからシンイを遡ってご覧になった方や、もちろん友達に勧められたという方も。

そ、そして、現在進行形の方もいらっしゃいましたよ!
自分の好きな別の韓ドラの二次を読んでいたら、そこのサイトの方がシンイにはまって二次を書き出して、それを読んでシンイを見出したという。

実は見てない、の方がお一人いらっしゃったんですが、コメントを読みますときちんと見ておられて、たぶん押し間違いでした(笑)


(二次を読まれたきっかけなど、その2でまとめさせていただきまーす。なので続く)




by kkkaaat | 2016-04-12 21:20 | シンイ雑記

二次小説。いまのところシンイとか。
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